今年もパラダイス仏生山をやります

『パラダイス仏生山2016』トレイラー撮影・編集:菅原康太、音楽:吉田能

2016年10月23日(日)

私はあまりキャパシティの大きい人間ではない。食べ物の好き嫌いは激しいし、ひとつの仕事にも時間がかかるし、付き合える人の数も限られている。体も小柄なほうだ。

フィリピンで人と話している時にふと「人生は時間と空間だ」というとても素朴な言葉が自分の口から出て、妙に納得した。肉体がある以上は時間も空間も有限なので、それを誰と共にするか、という取捨選択がどうしても起きる。

そして「誰と共にするか」という取捨選択の大部分は、自分の意思というより偶然や物理的な条件に左右されている。人間も宇宙から見ればたぶん昆虫と変わらない。

だから「離れているけど思っている」みたいなのは愛とかではなくて、肉体というキャパシティを超えた欲だと思っている。それはそれで人生を楽しくするだろうけど、自分には無理な気がする。キャパが足りないから、目の前にないもののことを思い続けるのは骨が折れる。

演劇がいいなと思うのは、本番の開演から終演まで、他者と一緒に劇場という「有限な時間と空間」に閉じ込められる、というところ。しかもお互いに向き合うのじゃなくて、同じ方向(舞台)を見ていれば言葉を交わす必要もない。「劇場」が、私が最近よくやっているような建物の外の空間を指すこともある。英語では演劇も劇場もtheaterという言葉で表せるが、そのことがとてもしっくり来る。

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ちょっと面倒くさいことを書いてしまったけど、私なりにそういうことを形にしてみようと試行錯誤してきたのが『パラダイス仏生山』だ。個人の作品ではなくて、ペピン結構設計という劇団で作っている。
2012年に初めて仏生山温泉の岡さんを訪ねて、翌2013年からリサーチを始め、2014年からは毎年『パラダイス仏生山』というタイトルで作品を発表してきた。同じ題名だが毎年内容が変化していく、ワーク・イン・プログレスの作品だ。2015年からは「仏生山まちプランニングルーム」という地元の皆さんに、「共催」として一緒に動いていただいている。

ちなみに2014年は街なかに隠された音や物など物語のピースを拾い集めながら、鑑賞者一人ひとりが自分のペースで歩いて体験する演劇だった。
2015年は俳優の演じるシーンを追いかけながら電車に乗って仏生山に来て、ガイドについて全長3キロの道のりを歩き、実際にまちで暮らすさまざまな人に出会っていく、という演劇。西ルートと東ルートがあって、それぞれ登場人物や道のりはまったく違う。どんな体験だったかはこちらのページで、四国を拠点に活動する『物語を届けるしごと』こと坂口祐くんが詳しくレポートしてくれている。

今年、2016年は移動は楽にしつつ(2時間かけて3キロ歩くのはお客さんが大変だったから)、やっぱりいくつかのルートを用意している。ルートごとに内容はまったく違うし、日によっても違う。そして昨年とは違うまちの人たちが出演する。いろいろな人に出会うというより、一人ひとりにもう少し深く関わる体験になると思う。

さっき書いた、人生や劇場についての話は、劇団の4人のメンバー全員が同じ考え方をしているわけではないと思うけど、17年くらい前から稽古場で「昆虫のエチュード」とかを一緒にやってきた人たちだから、わりと共有できているんじゃないかと思う。

よかったら、見に来て下さい。「見る」以外の行為をだいぶ求められるけど、楽しいと思います。仏生山は、本当にとてもいいところです。

◎公演詳細・お申込み
http://pepin.jp/stage/paradise/

◎Facebookページ(最新情報)
https://www.facebook.com/paradisebusshozan/

◎パラダイス仏生山2015 体験レポート(by 物語を届けるしごと
http://yousakana.jp/paradise-busshouzan-2015/

 

 

 

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