フィリピン日記 20160607

2016年6月7日(火)

午前中は作業をして、午後からSipatのAlonのソロパフォーマンス『Tren』を観るためRecto駅へ向かう。今年のKARNABALでは、Sipatのメンバー全員がそれぞれソロワークを発表する。演出家や俳優ではなく、Alonのようにプロダクション・マネージャーだったり、Ninyaのように照明家だったりもするが、これは全てのメンバーがパフォーマーでありアートマネージャーでもあるべきだ、というSipatの方針によるもの。

行きの車内でダーッと明日カンファレンスで話すことのサマリーをつくる。集合場所に着いた時点で開演を10分ほど過ぎていて、Alonだけじゃなく誰も姿が見えないのでもう電車に乗って行ってしまったかと思った。しばらくしてAlonと、その後ろからEisaがオーストラリア出身のシアターメーカー、Piperを連れて現れた。撮影係としてカメラを担いだBrandonもやってきて4人でホームで話しながらAlonの動きを待つ。やがてちからさん、りっきーもやってきた。

この作品は、Alonが出会い系のサイトを通じて初めて出会う男性と駅で待ち合わせ、LRTの終点駅までふたりで向かうのを観客たちが乗客にまぎれて眺める、という問題作。昨晩が初演だったのだが、約束した男性が現れなかったため、観客のひとりが相手役として参加したらしい。もしかしたら観客たちの存在に気づいた男性が警戒してしまったのかもしれない、というちからさんの見解を聞き、私たちもなるべくバラけて素知らぬ顔で待つ。果たして今日は現れるのか。

ホームで30分ほど待った後、電車に乗り込むAlonを追って隣の車両へ。すっぽかされたのか、私たちに気づいて帰ってしまったのかわからないが、今日もまた男性は現れなかった。Alonはフラれた感じ(?)でイヤフォンで音楽を聴いている。しばらく観察したが新しい展開が起きないので、途中で彼女と同じ車両に乗り換えた。透明な壁の向こう側から、彼女の世界に入ってみたらどうなるんだろうと思った。察したEisaが隣の車両からAlonの横をすり抜けて同じ車両に移ってくる。ちょっとインプロビゼーションぽい流れになってきてドキドキする。

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( Photo by Brandon Relucio / KARNABAL FESTIVAL 2016)

途中の駅で降りたAlonを追って電車を降りる。改札でAlonが振り返り、みんなで笑って終演。

Magitingまで戻り、BrandonとPiperとLeonaで腹ごしらえ。Piperはヴェトナムがルーツだが、両親が移住したため生まれた時からオーストラリア育ちで、つい最近になってようやく両親の祖国を訪れたという。Brandonも同じような経緯でニューヨーク育ち、映像作家として活動する中で6〜7年前に自分のルーツであるフィリピンに移住し、ゼロからタガログ語を学んだ人。

夕方からはMaginhawa通り沿いのカフェBlackSoupへ。ここは昨年も会場になっていたのでお馴染み。SipatのメンバーであるClydeによる『The Claudia Show』とDavidの『What I will Do To Win Foreignoy』を続けて観た。

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( Photo by Brandon Relucio / KARNABAL FESTIVAL 2016)

前者はリップシンクとエアギターを組み合わせた漫才っぽい作品。「リクエストがある人はナプキンに書いて回して」(冗談)と言ったら、すかさずTassosがナプキンに曲名を書いてたのに笑った。後者はフィリピンのあるバラエティー番組のいちコーナー「Foreignoy(ガイジン+フィリピン人の造語)」というコンテンストがモチーフになっている。外国人の出場者たちが、「自分がいかにフィリピン人らしいか」を(タガログ語のセリフと歌で)競い合う。彼が出場したい、と考えるに至った経緯や白人であることの葛藤が語られ、最後はDavidとSipatのメンバーがフォーレノイに出場するためにつくったショーで幕を閉じる。知能犯的な構成の後、やけくそに自分を投げ出す姿には心動かされた。私自身も、異邦人としてここにいるからかもしれない。
この日の最後には、急遽決まったゲストとして、りっきーのTeam ExchangerのメンバーであるYuko Nexusさんとタカハシ・タカカーン・セイジさんがサウンド・パフォーマンスを上演した。

これを書きながら今、急に思い出したのは昨年のKARNABALのあとJordanとDavidがパラワン島でのフィールド・レコーディングをもとに収録したEP。ひなびたビーチ・リゾートの空気が漂ってきて、まだ見ぬパラワンが蜃気楼みたいに浮かんでくる。

終演後は、Flying Houseでちからさん・りっきーと3人そろって翌日のカンファレンスに向けて作業。のはずが、途中でKARNABALインターンの若い子たちがやってきて、いろいろ話が弾んでしまう。インターネットもあまりつながらないので、りっきーは早々に帰っていった。私も飲みながら作業していたが、ふいに酔いが回ってきて、ぐるぐる。プレゼン資料の形は完成してないが話すことはだいたい決めたので、明日の朝がんばることにしてホテルに帰って寝た。

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