フィリピン日記 20160514

2016年5月14日(土)

今日はいよいよACAYでのワークショップ当日。午前中はプレゼン資料の準備とイメージトレーニングをして過ごす。
12時前にJKの家に行き、Kei君と合流。が、ここで問題が。朝から国際交流基金の報告会のためマカティに行っていたJKのプレゼンが押し、まだ出られていないらしい。ワークショップは午後1時、最初のエクササイズや動画、プロジェクター等を彼にお願いしていたのだが、おそらく間に合わない。でも、そんな予感がしていたのだった。

動揺してクレヨンを忘れて取りに帰ったりしながら、何とか午後1時にACAY入り。事前には7人くらいと聞いていたが、12人もの女の子たちが集まってくれていた。16歳〜21歳なので、子どもや少女というよりは、若い女性たち。何人かはすでに外の職場でインターンをしている。

まずは自己紹介を兼ねてプロジェクトの紹介から。プロジェクターがないので、私のMacBook Air 11インチの画面を見てもらう。私とAninoの紹介、日本の走馬灯について、このプロジェクトについて。KARNABALについては動画を見てもらった。

普段はたどたどしいながらも英語で話すが、こういう時は日本語のほうが自分でも妥協せずに話せるので有り難い。Kei君がタガログ語に通訳してくれる。一番の難関である「死の直前に見る」という部分、ためらいながらも日本語でそのまま言ってみた。Kei君がどういうニュアンスで訳したのか、タガログを解さない私にはわからない。でもみんな、ふーん…ほー…という感じで耳を傾けていた(こういう反応の時は、頭の中で考えを咀嚼しているときだと後でわかった)。最後に「プロジェクトに参加してくれるかな?」と訊くと「YES!!(いいともー!)」という元気のいい答え。

JKはまだマカティを出られていないらしいので、エクササイズも自分でやることにした。日本でもよくやる、空間全体の密度や足の裏の感覚、お互いの呼吸・距離感を感じながら動くエクササイズ。最後はみんなでひとつの生き物のようになって、一緒に呼吸をしながら動きを終えていく、というアレンジにした。女の子たちは最初はバラバラに、はにかみながらペタペタ歩いていたが、だんだん動きがなめらかになって、呼吸が合ってくる。次は二人組になって片方が他方の動きを導いていくエクササイズ。相手の呼吸を感じられるように、ただそれだけのシンプルな運動。

これまでフィリピンの人たちを見てきた経験では、こういう身体感覚は元から鋭いようにと感じる(テレパシーみたいに)。でも彼女たちには、ある種の不器用さや集中力の薄さも感じた。集中力に関してはあとでJKも指摘してたので、彼女たちに特有のことだったのかもしれない。とはいえエクササイズが終わる頃には緊張や照れもだいぶとれ、動きに集中しているのが感じられた。とりあえずアイスブレイキングとしてはOK。

今日のメインプログラムは「普段の生活の中で好きな瞬間やシーン」と「将来、つくり出したい瞬間やシーン」を絵に描いてもらい、お互いにシェアすること。
シェアする方法としては、「この家の敷地内(庭や玄関もOK)で自分がここで話したいと思う場所を見つけて、そこに絵を貼り、みんなでツアーのように回っていく」という「シェアリング・ツアー」にした。って今回のためにつくってそう呼んでるだけだけど、昨年に高松市仏生山でやった『パラダイス仏生山』でのワークショップをベースに。

たとえばダイニングテーブルの上に置いた絵をみんなで囲んで聞くとか、階段の踊り場に貼って階段を客席のように座って聞くとか、暗がりに貼って秘密基地のように潜りこむとか、自分がどんな風に語りたいか、みんなにどんな風に聞いてもらいたいかもイメージしてね、と伝える。

人數が多いので2つのチームに分けるつもりでいたが、絵を描き始めた彼女たちを見て、やめた。というのも、すごく集中して、すごく気合を入れて描いてたから。彼女たちの一部は、バッグに自分でデザインした絵を描いて売ったりもしている。あと5分だと言っても、制限時間が来たことを告げても、やめる気配がない。描くのにもっと時間を使って、せっかく描いたものを全員でシェアする方がよさそうだと思った。

なので3つあったステップを2つにまとめて、シェアリング・ツアーは全員でやることに。Kei君が「発表できる人から手を挙げて発表すればいい」というのでそうしたところ、みんな「次は私!」という感じで我先に発表したがる。お互いの発表への質問やコメントも遠慮がない。

シェアする場所も、ダイニングテーブルの上、真っ暗なテレビ、棚の上、中庭の壁画の中、玄関の扉の外、空と太陽が見える場所、大きな木の幹、窓の格子、マリア像のそば…など、てらいなく、でもちゃんとどんな風に見て・聞いてほしいか工夫していて、楽しかった。

絵は、ACAYの家での暮らし、学校のこと、仲間と一緒に出かけた旅行、始めたばかりの仕事のこと…などに混じって、小さい頃の遊び、実在ではないがイメージすると落ち着くという光景を描いた子もいた。自分の過去として、真っ暗な闇を描き込んだ子が何人かいた。お互いに何があったか話すのを禁止されているので、こういう記号的な伝え方になるのかもしれない。

1つ目のシェアリング・ツアーの途中で、JKとAaronが登場。彼が演出家だと知った途端、「私、映画女優になりたいの」とかアピールし始める女の子もいた。あとでJKが「directorというとすぐ、映画やテレビの監督だと期待されるんだよね〜」と言っていた。わかるよ。うちの親戚にも、演劇といったら「劇団四季か?」って訊かれたよ。

2つ目の「将来、つくり出したい瞬間やシーン」を描いてもらう時は、「走馬灯で見たいと思うシーンを描いて」「シェアする時には、すでに起きたこととして話して」と伝えた。

こちらも、結構まじめに「将来の夢」「成長し続ける」みたいなイメージが多かったが(おそらく普段から、そういう自己啓発プログラムを多く受けているので)、なかには「金持ちになって噴水のある大きな家を住んでいる。その家には泥棒が迷子になるようにたくさんの階段がついている」とか「好きな人とフランスに行ってエッフェル塔を見た」とか「建築家になって、教会を建てた」といったのもあった。先生になりたい子や、自分と同じような境遇の子どもたちをACAYのように支えたい、という子も何人かいた。また家族と一緒に暮らして家族を助けたい、という子も。

先生になって学校に来ない子どもたちを教える、といった子に、他の子が「どうやってその子たちを学校に連れてくるの?」とつっこみ、つっこまれた方はちょっとひるみつつ、一生懸命「その子たちの夢を聞いて、それを実現するためには学校に来なければいけないと説得する」と言い返す場面があり、よかった。

振り返りで、どんなことを感じた?と尋ねると、これまたいろいろな意見や感想が出てくる。最初のエクササイズが気持ちよかった、すでに起こったこととして話しているうちに本当に起こったみたいで幸せな気持ちになった、など。意見や質問がバンバン出てくるのはいいが、どうしても、ちょっと優等生的になるのが気になる。
来週、影絵のワークショップがあるけど来てくれる?と訊くとまた「YES!!」という返事。それなりにもう大人なので、私の立場も汲んでくれてるのだろう。やりたーい!というより、おっしゃ、やったるでー!みたいな感じ(楽しんでくれていたとは思うが)。

大幅に時間を過ぎ、終わったのは午後5時。ACAYが用意してくれていた食事をみんなで食べて、また来週、と帰ってきた。

喉がカラカラだったのでKei君を誘い、近所のカフェにフルーツシェイクを飲みに行った。Kei君のあまりに充実したカレッジライフや家族のこと(母はフィリピン人の医師。父は日本人の建築設計士で、一度は退職したが請われて日本に戻っている)、織物や工芸が好きで日本にいた頃は絞りを習っていたこと、などいろいろ話を聞く。久しぶりに日本語でたくさん話した。

JKのおみやげにマンゴーシェイクを買って帰ると、Sipatのメンバーで2ヶ月前にお母さんになったばかりのMeilaが、夫のJacoと娘のMayaを連れてやってきた。昨年のKARNABALぶり!ロングヘアをばっさり切って、女っぷりが上がっている。

Sipat現役メンバーでは、初の赤ちゃん。みんなでひとしきりMayaにからみまくり(ちなみにSipatは大ワシ、Mayaは小鳥という意味がある)、3人家族を見送ったあとはいつものFlying Houseで食事。JKとYenyenのせいで、カトリックとゲイがらみの下ネタばかりで夜が更けていった。

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