フィリピン日記 20160513

2016年5月13日(金)

引き続きひどくお腹を下していて、食事もできないし、外出をためらう。正露丸も効かないので、現地の薬を飲む方がいいのでは…と思い至る。JKの家に通いで家事代行のような仕事をしているIreneに、こんな時どんな薬を飲むのか聞いたら「ブスコパン」との答え。神経性の胃痙攣のため、常備薬として日本から持ってきている。調べたら胃腸両方に効くらしい。あとで飲んでみよう…。

リビングで本を読んでいたライターのMixに、お墓を見たいんだけど、ケソンの近くにある?と訊いてみる。近くにないことはないが、少し離れたManila North Cemeteryに行くといいのでは、と教えてくれた。この墓地は人々の住まいにもなっていて集落ができており、そこに住む人は遺体を収めたり、移し替えたり、時期が来たら骨を破棄する仕事などもしている。

明日はACAYでのワークショップなので、足りないものの買い出しに行かなくてはならない。文房具を安く買うにはどこがいいかAaronに尋ねるとNational Book Storeなら間違いなくあるという(あとでJKから教えてもらったが、フィルコーワにも学生向けの文房具店があるらしい)。

近場で一番大きな店を目指して、クバオまで出かけることにした。クバオはマカティに取って代わられる前はマニラの中心的な商業集積地で、ショッピングセンターや企業のオフィスなども多い。そして、ちからさんが『演劇クエスト』を滞在制作する予定のマリキナは古くは靴の生産地として発展した都市だったが、クバオが経済の中心地として発展する過程で安い中国製の靴が大量に流入し、マリキナの靴産業は衰退してしまった、と聞いた。

出発前に、洗濯屋に寄る。女主人がいつもよりニコニコ愛想がいいと思ったら、店内にいた男性がどうやらボーイフレンド?だったようだ。「洗濯済みの服は後で取りに来ていいかな?9時までに来るから」と訊くと、彼女の代わりに男性が「8時!(ニッコリ)」と答えた。デートかな。
ターミナルになっているフィルコーワまで行き、ジープニーに乗る。なんだか見覚えのあるルートと違うような気がして、隣の男性に尋ねると、ちょっと迂回するルートだったらしい。

(いつものことだが)韓国人か?と聞かれたところから、なぜここに来たのか、何をしているのか、という話が始まる。彼、Gerryはケソンで、テレビ局の倉庫管理の仕事をしているらしい。マーケットに行く彼もクバオで降り、途中まで一緒に行ってくれるという。バッグに気をつけて!など、親切に気にかけてくれる。

「こっちの方が安いかも」とNational Book Storeに行く途中の、もう少し庶民的な本屋さんまで連れて行ってくれ、そこで別れた。こういう時どうしたらいいかよく分からなくて、お礼にとお金を差し出したが、受け取ってもらえなかった。その代わり電話番号(フェスティバルから支給されているので6月半ばまでと断った上で)を交換し、「よかったら見に来てね」とKARNABALの情報を伝える。

小さな本屋の品ぞろえと価格を確認してから、徒歩数分のNational Book Storeへ。日本でいったら丸善みたいな感じだろうか。店は広くてキレイだし、商品も探しやすい。もちろん品ぞろえも豊富だし、さっきの庶民的な本屋さんより安い。この構造はどこも同じですね…。

今日の目的は画用紙と、色鉛筆かカラーペンのセットを買うだけだったのだけど、かなり迷って、グレードが高くて色数も一番多い、36色入りクレヨンを選んだ。日本でもワークショップとかやる時につい百均でいろいろ買い揃えたりしてしまうが(そして日本の百均は割りとクオリティもいいのだが)、普段よりちょっといい道具があるだけで、もっと描きたくなったり、描くのが楽しくなるんじゃないか、と思った。

買い物を終えたあたりでお腹が痛くなり、隣のショッピングビルへ。2フロアに渡る巨大なH&Mがあり、タグには渋谷区宇田川の住所が書かれていた。向いはユニクロ。日本を出る前に買ってきた、涼しい・すぐ乾く・紫外線もカットする長袖パーカーがものすごく重宝している(日差しが強すぎて、着てる方が楽)ので、洗濯用の替えを追加で購入した。元の値段も割引の値段も、日本と同じだった。

洗濯屋さんに8時までに行くと約束したので、そろそろクバオを出ないといけない。ジープニーで降りたところがちょっと離れていて、しかも普段と違うルートで違う場所で降ろされたので、同じルートで帰れるのか自信がなかった。警備員に訊くと、たどたどしい英語で、フィルコーワなら『SM Fairview』と掲示があるバスに乗れと教えてくれた。

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ところがバス乗り場がすごいことになっていた。考えてみれば帰宅ラッシュの時間帯。道は渋滞しているし、来るバス来るバス乗車率200%超えじゃないかと思うほど、人を詰め込んでいる。
何とかSM Fairview行きのバスを見つけたが、絶望的に混んでいて、しかも誰も降りない。そしてこっちではジープニーもバスも乗り場で止まってくれないので、自分から走っているバスに「乗せてくれー」と近づいていかないといけない。

まわりの人たちを見てると、止まってくれないバスを走って追いかけて、スピードをゆるめたところでドアを叩いたりして乗り込んでいる。私も100mくらい追いかけて、ようやく乗務員の女性がドアを開けてくれた。

私が立っているとドアが開かないくらい混んでいるので、乗降客がいるたびに手すりにぶら下がるようにしないといけない。近くにいた男性が「ここに掴まりな」と声をかけてくれる。と思うと別の人が「こっちがいいよ」と立つ場所を交換してくれる。だんだん車内の奥に送り込まれ、目の前の席が空いたので運良く座ることができた。降りる時も、「パラ・ポ〜(止まって下さい)」と言いながら前へ行こうとすると、まわりの人が荷物を押し出してくれたりして、降りるのを手伝ってくれた。

時々、みんなテレパシーが使えるんじゃないか、と思う。ジープニーでもFXでもバスでも、ドライバーが乗る人を見つけたら止まってくれ、降りたいところで意思表示をして降りる仕組み。でも誰も、ほとんど意思表示らしい意思表示をしない。もちろん「パラ・ポ」と言ったりジープニーの天井をトントンと叩いたりすることもあるが、すごくささやかだし、「あれ?いま誰も何も言わなかったけど勝手に車止まって、人が降りていったね?」ということも多い。

逆に「あれ?私まだ何も意思表示してないのに、なんで私の前でジープ止まったの?どうして分かったの?」みたいなこともある。何も言わなくても、目を見たりしなくても、身体が向かっていこうとする方向がお互いにパッと伝わるし、伝わった瞬間にはもう動き出している。応答性がとても高い。

フィルコーワに行くと思っていたが、バスはEast Ave.を北上し、フィリピン・ハート・センターの前で降りることができた。渋滞してたはずなのにクバオから20分くらい、早い!トライシクルでMatalino通りを抜けていけば、JKの家もすぐ。絶対に間に合わないと思ったけど、洗濯屋にはほぼオンタイムで8時に着いた。

JKは夜10時にならないと帰らないので、明日のワークショップの打ち合わせをするため、プロジェクトのプレゼン資料をつくりながら待っていた。結局、帰ってきたのは11時半で、Mapagkawanggawa(マパカワンガワ)通りのイロコスというレストランで打合せが終わったのは夜中の1時近かった。JKはこれからデザイナーとポスターの打合せがあるという。タフすぎる。

帰ってから鼻をかんだら黒かった。肌を掻くと爪が黒くなるのはいつものことだが、クバオはやっぱり交通量が違うようだ。正露丸とブスコパンを飲んで寝た。

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