フィリピン日記 20160504

 

IMG_0713

2016年5月4日(水)

午前中はカフェで仕事をし、正午にはJKの家へ。昨年よく通ったMaginhawa通りの洗濯屋さんに立ち寄る。昨日安いコインランドリーを見つけたけど、ここの女主人にまた会いたかったから。彼女も私のことを覚えていてくれた。あちこちの道路で工事をしまくっているのは、選挙(大統領が代わる)前に予算を使いきってしまいたいから。本当に、どこもかしこも掘り返されている。

JKたちは打合せ中で、みんなはKFCの出前を注文してしまったというので、ひとり外出してランチをとりながら午後の打合せ準備をする。“死”に直接的に言及せずに走馬灯をイメージしてもらうために、テーマを絞り込むとかアプローチをいろいろ考えるが、結論は出なかった。

14時からAninoのTita Tenyとのミーティング、JKとAaronと一緒に、何という場所かわからないがタクシーで20分くらい離れたところのスターバックスへ向かった。4ヶ月ぶりに会ったTita Tenyは白髪交じりのかっこいいショートヘアになっていた。彼女はAninoのお母さん的存在でマネージャーも兼務しており、実際に30代のメンバー二人の母親でもある。かつてはビジュアルアートのアーティストマネジメントをしていたらしい。ちなみに“Tita Teny”は“Teny おばさん”といった意味。

彼女は高齢者が優遇されるカードを使って、私たちにコーヒーをおごってくれた。フィリピンでは「シニア・シチズンシップ」という高齢者優遇制度があって、60歳以上だとレストランや映画、薬局などで割引が受けられる。バランガイ(地方自治体)や居住年数にもよるが、最近は外国人でも対象になるらしい。

で、ここからが大変だった。話が込み入っている、かつプライバシーに関わる話も含まれるので詳しく書けないが、結果的にこの日の打合せで、AninoとACAYとのコラボレーションの実現可能性が10%くらいになってしまった。

なぜそんなことになってしまったのか?コミュニケーションの行き違いもあったが、それよりも、フィリピンの人たちにとって“死”がどれほどナーバスな話題であるか、そして彼らがいかに複雑な難しさを抱えながら生きているかを、思い知らされた。Tita Tenyのまわりの人たちは“死”について話そうとすると、その話題から逃げようとしたり、怖くて泣き出してしまったりする、らしい(Tita Teny自身は、「私はもうじき死ぬから」とひょうひょうとしていたけれど)。

たとえ昨年から何度か来ているとはいえ、本番含め1ヶ月半という時間は、コラボレーションのために十分な時間ではない。これだけナーバスになる話題であれば、なおさら(とはいえ昨年からすでに議論していたので、早く言って欲しかったけど…)。そしてAninoのメンバーたちは超優秀な人たちで、大学でデザインを教えるかたわら30代の若さで重要なポストについていたり、デザインの会社を起業していたり、テレビ局のプロデューサーをしていたりする。そりゃ多忙だわ。

とはいえ私もこの一ヶ月半まるまる、日本の仕事をストップして来ている。何よりクライアントや仕事仲間やペピンの人たちなど、快く送り出してくれた寛大な人たちのおかげでここにいる。Aninoと作品をつくれる、というモチベーションで確保した時間だったので、正直がっくり来たが、JKがとにかく前向きなのと、Aaronの笑顔に救われた。

頭も心もへとへとになってMagitingに戻ると、JKの元教え子(PHSAではなくミュージカルのサマースクール)で通訳候補のKei Tairaくんが待っていた。

Keiくんはお父さんが日本語しか話せない日本人で、幼児期と小6〜中1の頃に数年間日本に住んでいたことがあり、漢字も読める。何よりフィリピン大学で芸術学を専攻している、というのが心強い。
KeiくんはさすがJKの教え子だけ合って(?)驚くべきスムーズさで話を飲み込んでくれ、自己紹介もそこそこにJKとの作戦会議に突入。それにしてもあまりに話が早い、と思ったら、母親の意思で大学の一年目は司祭になるためのコースを専攻していたという。2年目から芸術学にコース変更したが、修了書は持っている。

Keiくんの補足があってようやく、みんなが言っている“死”の恐ろしさがおぼろげながら輪郭を持ち始めた。どうやら死”といった時に連想するイメージが“死後どうなるか(≒地獄)”に直結してしまうらしい。

1月にリサーチで来た時に何箇所か教会を見て回ったが、やっぱり墓地にも行ってみた方がよさそうだ。などと一日あけた今なら書けるが、とにかく昨晩は失恋した直後みたいな気持ちで夕食のカルボナーラも味がしないし、夜のマニラをさまよい、秘密の場所でほんの少し自分を慰めてからホテルに帰って、気分転換に夜中までガリガリ仕事をしてから寝た。たぶん、私はAninoに恋をしていたのだ。

FullSizeRender

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です